玲子の場合 第1章 ACT2 | キャリアウーマンのそれぞれ -「タレントの卵・営業日誌」連載中-

玲子の場合 第1章 ACT2

 地下鉄で20分ほどあれば玲子のマンションのある駅に着く。
 通勤の利便性と地下から階段を上がってすぐと言う治安を優先して選んだマンションだった。
 玲子はこのマンションに男を入れたことがない。
 自分の城と言う意識があるので男をマンションに招き入れることを躊躇しているのだ。

 と言っても、玲子に彼がいない訳ではない。
 付き合う男に不自由したこともほとんどない。
 玲子が現在付き合っている男は山下部長に連れられて参加した異業種交流会で知り合った。
 知り合って1年近くだが、肉体関係はまだ半年。
 玲子は彼とのsex自体に不満はないが、深い満足もない状態が続いている。
 イケない訳ではない。
 体の満足度より彼に抱かれているときの精神的な満足が上回っているのだから、玲子にとって「愛されている」と実感出来るsexなのだ。
 しかし、その彼もまだこのマンションには招き入れていない。

 玲子は501号室の鍵を開けた。
 2Kのマンションだが、ドアを開けて部屋が見渡せるようにはなっていない。
 そこも玲子が気に入っている理由だ。
 パンプスを脱いで隅へ置き、部屋へのドアを開ける。
 テーブルの横にかばんを置き、コートを脱ぐ前にファンヒータを入れ、浴室へ向かいバス タブにお湯を張る。
 帰宅後の玲子の動きは無駄がない。
 コートを脱いでスーツをハンガーに掛け、ブラウスとストッキング姿で浴室に戻り、鏡の前でブラウス、ストッキング、ブラジャー、パンティの順に脱いで行く。

 鏡の中に写る全裸の自分をじっと見つめる。
「30代にしては、まだいけてるよね?」
 鏡の中の自分に問い掛ける玲子の体は確かに衰えていない。
 張りのある胸、くびれのあるウエスト。
 20代の頃よりは下腹部に肉がついたかもしれないが、醜いほどではない。
 玲子は自分の胸を両手で持ち上げてポーズを作ってみた。
「グラビア写真にこんなポーズがあったなあ。」
 苦笑しながら何ポーズか取ってみる。
 少し卑猥なポーズを取ってから、シャワーを浴びた。

 化粧を落としてからバスタブに体を沈め、眼を閉じると、彼とのデートで入ったバスルームが玲子の目の前に広がる。
「洗ってあげる」と言って、彼は玲子の体を泡だらけにした。
 彼に後ろから抱きしめられた、あの時の記憶が蘇る。
 泡のせいなのか、彼の手の感触はいつもよりソフトで柔らかいタッチだった。
 全身を羽でなぞられるような感触。
 肝心なところには触ってもらえないもどかしさ。

 玲子はそっと自分の乳房を弄った。
 彼と同じような手の動きを自分の胸へ真似てみた。
 バスタブのお湯が玲子の手の動きで揺れると、まるで全身を撫で上げられているようだ。
 あの時と同じもどかしさが体に蘇る。

 彼の手の動きに耐えられなくなった玲子はうめくような声を絞り出した。
「ねぇ・・ねぇ・・・もうだめ・・・お願い。」
 くねるように体をよじりながら、玲子は彼の手の動きに反応している。
「何をどうお願いしているの?」
 意地悪な彼の問いに、玲子は消え入りそうな声で答える。
「入れて・・・お願い・・・。」
「何をどこへ入れて欲しいの?ちゃんと言わないと・・・。」
 軽い言葉責めに玲子の体が反応した。
 入り口付近で円を描くようにしていた彼の指が玲子のポイントをワザと外す。

「あぁ・・・。」
 今度は現実の玲子の口から声が漏れた。

玲子の右の中指は花芯を撫で始めた。
彼の指と同じ動きを始めた玲子の指は段々加速していく。

「あっ・・ああ・・・いい・・・そこ・・・。」
眼を閉じたままの玲子の目の前にあるのは彼の後ろから回された腕。
お湯の中でも感じるぬるりとした感覚。
彼の指と現実の自分の指がシンクロしている。

「あぁ・・イッ・・イクゥ・・・。」

太ももから足の指先までが痙攣するような反応を示し、バスタブの中の玲子は力尽きた。


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