玲子の場合 第1章 ACT5
小会議室の電気をつけ、先に玲子が入った。
大沢はドアを閉めたまま、入り口付近で立っている。
ドア方面に背を向けたままの玲子は大沢が動かないことに気がついていなかった。
大沢の表情に変化はないが、目は玲子の後ろ姿を捕らえている。
背中から腰に目線が下がる。
タイトスカートのスリット部分で一瞬目線が止まって、足元へ・・・。
玲子の締まった足首へ大沢は熱い視線を送る。
「ん?大沢君、こっちに座って・・・。」
玲子は大き目の会議用テーブルの角を挟んだ左側を指した。
「はい。」
大沢の声のトーンはごく普通だ。
大沢はうつむき加減だったので、表情に出ていたとしても玲子には悟られていないであろう。
大きな音にならないよう気をつけながら「ふ~っ」と息を吐き出し、大沢は席に着いた。
「これ、お願いします。」
大沢は2部ある書類の1部を玲子の方へ差し出した。
無言で受け取った玲子は速いペースで目を通す。
「ん・・・?」
玲子の声に大沢は怪訝な顔つきで反応する。
「なっ・・何か・・・?」
書類から顔を上げた玲子は大沢の顔を見ると、大沢の目がうろたえているようだ。
このまま黙っていれば大沢は更に不安になって困ってしまうだろう。
玲子は少し意地悪な気持ちになり、ワザと黙っておいた。
沈黙に耐えられなくなった大沢が小声で玲子に声をかける。
「あのぉ・・・。」
その表情を指先で突ついてみたい衝動に駆られた玲子も表情は崩さない。
ふっと力を抜いたような笑顔を作った玲子は茶化すような声で
「ここ・・・漢字変換のミスよ?」
書類を指して示した。
「え?!あっ?!ああ~~~~!」
玲子の手元と自分の書類を見比べながら、大沢の顔が見る見る赤く上気していく。
玲子は心の中で「可愛い♪」とつぶやいた。
大沢の方が格段に背が高いのはわかっているが、頭を抱えて抱き締めたい衝動に駈られる。
玲子の頭の中で大沢は、玲子の胸に顔を埋めて頬擦りしている。
大沢の背中と後頭部へ回した玲子の手は、子供をあやすように撫でている。
大沢の玲子の背中に回した手が不意に玲子のスーツを鷲掴みにして、玲子を会議用のテーブルに押しつける。
反動で玲子はテーブルに頭を打ち付け「ゴン」と音が鳴った。
「すっ・・・すみません。」
顔を上げて謝りながらも大沢の手は玲子の両手をテーブルに押し付けたままだ。
大沢は玲子の両手首を上へ持ち上げ、左手で玲子をテーブルに抑え付けた。
玲子は大沢の眼を見詰めたまま、大沢の右手が玲子の胸を弄るのを受け入れる。
「このまま、ここで犯してほしい。」
一瞬の妄想だった。
玲子は大沢の照れ笑いにつられたように笑いながら
「課長や部長に見せる前で良かったじゃない?」
玲子は声の上擦り具合を悟られない程度にするだけの演技力も持ち合わせていた。
頭を掻くような仕草の大沢も玲子には可愛らしく映る。
玲子の胸の奥でキュンと音がしたような気がした。
それを振り払うように真面目な顔つきに戻した玲子。
「さて、中身に入りますか。」
「はい、お願いします。」
ラスト2枚を見終えた玲子は、1枚目に書類を戻した。
「3枚目まではいいと思うのよ。4枚目もこのままでいいかな・・・?」
書類に目を落とした玲子の横顔をじっと見ている大沢の目はビジネスマンのようでありながら、時折男の目に変わることに玲子は気付いていなかった。
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大沢はドアを閉めたまま、入り口付近で立っている。
ドア方面に背を向けたままの玲子は大沢が動かないことに気がついていなかった。
大沢の表情に変化はないが、目は玲子の後ろ姿を捕らえている。
背中から腰に目線が下がる。
タイトスカートのスリット部分で一瞬目線が止まって、足元へ・・・。
玲子の締まった足首へ大沢は熱い視線を送る。
「ん?大沢君、こっちに座って・・・。」
玲子は大き目の会議用テーブルの角を挟んだ左側を指した。
「はい。」
大沢の声のトーンはごく普通だ。
大沢はうつむき加減だったので、表情に出ていたとしても玲子には悟られていないであろう。
大きな音にならないよう気をつけながら「ふ~っ」と息を吐き出し、大沢は席に着いた。
「これ、お願いします。」
大沢は2部ある書類の1部を玲子の方へ差し出した。
無言で受け取った玲子は速いペースで目を通す。
「ん・・・?」
玲子の声に大沢は怪訝な顔つきで反応する。
「なっ・・何か・・・?」
書類から顔を上げた玲子は大沢の顔を見ると、大沢の目がうろたえているようだ。
このまま黙っていれば大沢は更に不安になって困ってしまうだろう。
玲子は少し意地悪な気持ちになり、ワザと黙っておいた。
沈黙に耐えられなくなった大沢が小声で玲子に声をかける。
「あのぉ・・・。」
その表情を指先で突ついてみたい衝動に駆られた玲子も表情は崩さない。
ふっと力を抜いたような笑顔を作った玲子は茶化すような声で
「ここ・・・漢字変換のミスよ?」
書類を指して示した。
「え?!あっ?!ああ~~~~!」
玲子の手元と自分の書類を見比べながら、大沢の顔が見る見る赤く上気していく。
玲子は心の中で「可愛い♪」とつぶやいた。
大沢の方が格段に背が高いのはわかっているが、頭を抱えて抱き締めたい衝動に駈られる。
玲子の頭の中で大沢は、玲子の胸に顔を埋めて頬擦りしている。
大沢の背中と後頭部へ回した玲子の手は、子供をあやすように撫でている。
大沢の玲子の背中に回した手が不意に玲子のスーツを鷲掴みにして、玲子を会議用のテーブルに押しつける。
反動で玲子はテーブルに頭を打ち付け「ゴン」と音が鳴った。
「すっ・・・すみません。」
顔を上げて謝りながらも大沢の手は玲子の両手をテーブルに押し付けたままだ。
大沢は玲子の両手首を上へ持ち上げ、左手で玲子をテーブルに抑え付けた。
玲子は大沢の眼を見詰めたまま、大沢の右手が玲子の胸を弄るのを受け入れる。
「このまま、ここで犯してほしい。」
一瞬の妄想だった。
玲子は大沢の照れ笑いにつられたように笑いながら
「課長や部長に見せる前で良かったじゃない?」
玲子は声の上擦り具合を悟られない程度にするだけの演技力も持ち合わせていた。
頭を掻くような仕草の大沢も玲子には可愛らしく映る。
玲子の胸の奥でキュンと音がしたような気がした。
それを振り払うように真面目な顔つきに戻した玲子。
「さて、中身に入りますか。」
「はい、お願いします。」
ラスト2枚を見終えた玲子は、1枚目に書類を戻した。
「3枚目まではいいと思うのよ。4枚目もこのままでいいかな・・・?」
書類に目を落とした玲子の横顔をじっと見ている大沢の目はビジネスマンのようでありながら、時折男の目に変わることに玲子は気付いていなかった。
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