<陪審員制度> | キャリアウーマンのそれぞれ -「タレントの卵・営業日誌」連載中-

<陪審員制度>

昨日のニュースを見ていて違和感を持ったことが1つあります。
米歌手、マイケル・ジャクソン被告(46)が無罪評決を受けたと言うことです。


裁判なのに「判決」ではありません。
これはアメリカの裁判が陪審員制度を採用しているからです。


この裁判の結果については陪審員制度と言う、日本ではまだ導入されていない制度が
この評決への流れを変えたのではないか?と疑問が私の中で沸きました。





以前、確か和久俊三さん(現役弁護士で小説家)の小説だったと思うのですが
アメリカの裁判制度を細かく描写したものを読んだことがあります。

内容は1級殺人の被告人の司法取引も含む長編だったと思います。

その時の記憶に間違いがなければ、アメリカでは陪審員に選ばれた時
(日本人なら誓約書のようなものに署名捺印をするのでしょうが)
聖書の上に手を置いて神に宣誓し、公平な審議をすることと
評議の内容を他言しないことを約束していたように思います。


だから、この裁判の陪審員たちの議論の内容も守秘義務が課せられていて
一切外に漏れないようになっているはずのなのですが・・・


どこのニュースでも「と判断した模様です」とか「と言う流れになったようです」とか
ある程度の推測も含まれています。


この推測は、どこで裏付けを取ったものなんでしょうか?


評議の終わった陪審員にマイクを付きつけてインタビューでもしたのでしょうか?
これは有り得ないと思います、てか守秘義務あるでしょ?!って感じ。

(マイケルが有名人であることは考慮に入れていないとコメントした陪審員はいるらしいけど)


それとも、日本の裁判の判決文のようなものに評議の成り行きが含まれているんでしょうか?
評議の流れまでいちいち解説するような判決文は
日本の感覚では有り得ないようなことが、アメリカなら有り得るのかも知れませんが・・・

でも、私の日本人的感覚ではどちらもちょっと考えにくいです。



ニュースでは「少年の証言などに信ぴょう性が欠けている」とか
「少年の親の心証が悪かった」とか、まことしやかに伝えられています。
私にはマスコミの印象か、マイケルジャクソンの弁護団のコメントのように思えますが(苦笑)




陪審員に選ばれる人は、法律の専門家や法律に詳しい人である必要はなく
ごく一般市民の中から選ばれるので、収入も生活環境もバラバラです。

そんな複数の人がある程度まで意見の一致を見るまで
延々と評議するのですから大変なことだと思います。

この裁判の評議が難航し7日間に及んだと言うことでしたが
そのくらいで終わったことの方が驚きです。
全世界が注目するような事件なのですから・・・。






と、ここまで考えていて、もう1つ不安になることが出てきました。


日本でも2009年までに裁判員制度がスタートすることが決まっています。
アメリカの陪審員制度の真似っ子みたいなもんです。
(戦前にも、これに近いような制度があったはずです。)


選ばれた一般市民は仕事を休んで参加することが義務付けられています。
まだ正式に金額は決まっていませんが、日当や交通費は出るようです。


でも法務省の決めることですから、日当はどんな人も一律の可能性が高いですよねぇ?
これって、いいんだか悪いんだか・・・。






一般企業の会社員だったら「裁判員に選ばれましたので」と言えば
特別休暇扱いになって、基本給は保証されているでしょうし、日当も頂けてラッキーかもしれません。


自営業の場合はどうなんでしょうか?
お店をやってるような人は、その日だけ店番を奥さんに任せて、出廷することも可能かも知れません。


でも、企業のトップにたつ人だったらどうなるんでしょう?
大企業なら1日抜け出しても会社自体は安泰かも知れませんが
中小零細企業の場合は、それが命取りになることもあるかも知れません。





日本の裁判は時間が掛かることでも有名です。
何度も何度も、尋問や証人喚問で日を改めて開廷しますし
証拠も全て出揃ってから審議に入るとなると
裁判員は何日くらい裁判所に通わなければならないんでしょう?


マイケルジャクソンの裁判のように、メジャーで難解な事件を担当することになってしまって
最終審議に入って、1週間も拘束されたら、お店をやってる自営業の人も「店が回らなくなる!」
というハメになるかも知れませんよねぇ?






実は私、自己啓発とお勉強を兼ねて、裁判の傍聴のため、地裁に通ったことがあるのです。




守衛さんに当たる人が受付を兼ねて裁判所の入り口に座っていたので
「何か勉強になるような事件の傍聴はありませんか?」と訊ねたら
傷害事件の初公判が何件かあるよ~と教えて貰ったんです。


被告人が複数の傷害事件の方が1人くらい「オレはやってない」とか言いそうだしと言うことで
「揉める公判になるかも知れないから
 勉強がてらの見学なら、これにしてみる?」とお勧めの裁判を選んで貰いました。


この段階はまだ事件名を知らず、○○号法廷だからと言われて
エレベータでその階に下りたんですが、かなりの人が廊下に溢れていて
「裁判所って混んでるんだな~」なんて思っていました。





私が○○号法廷に入り座っていると、目的の裁判が始まり
人定質問と起訴状朗読で「これって新聞やニュースで騒がれた事件だ!」と
ようやく気が付きました(^^;


公判の初日はマスコミの人が一杯いて、座る席も隅の方でしたが
第二回公判で被告人たちへの尋問が始まって
全員が犯行事実を認めると、第三回公判にはほとんどマスコミも来てませんでした。


第三回公判の時だったと思うんですが、傍聴席の一番後ろにカップルが座っていて
裁判が始まる前からボソボソと喋っていました。
開廷してからもずっと、男の方が女に小声で解説をしているようでした。


今から考えると、私のように見学に来た人たちだったのか
被告人の身内か友人などの関係者だったのかだと思います。


男の方がず~っと喋っているので、裁判長が注意をしたのですが
一瞬黙っただけで、しばらくすると声のトーンを落として、また男が喋り始めました。


裁判長も2回目の注意だったので、口調もキツくなって
「これ以上騒がしくするようでしたら退廷して頂きます!」と、かなりキッパリ言い放ちました。

さすがにその後は静かになりましたけど(笑)





で、4回目あたりで弁護側の情状証人の出廷があって・・・

確か5回目には「次回公判で判決を言い渡します」と
長引くだろうという予想を遥かに上回るスピード結審となりました。

私は判決の日を入れて、都合6回ほど通いました。




大体裁判って、月1回程度の開廷ですから半年だと思うでしょ?


ところが、裁判官や弁護士のスケジュールが合わなくてズレたり
(あの裁判では、検察官の都合でズレたってのは、なかったはず)
お盆休み中は裁判所がきっちり休むので2ヶ月後だったりで、結局、9ヶ月くらい通ったことになります。


被告人たちが素直に認めてるケースでさえ9ヶ月ですよ?!




これがもし、犯行を認めないケースや複数の容疑の裁判だったら

どれだけ掛かるのか予想もつきません。


仕事の合間に、自己啓発のために裁判所へ通った私ですが
日当としての報酬を貰い、仕事として通う事が義務付けられて
しかも自分の意見が裁判官と同じ重みに扱われて
被告人の刑罰を決めないといけない立場だったとしたら
かなりの気持ちの負担になると思います。


まして、最終弁論終了後、評議の結論が出るまで缶詰状態にされて
気になる仕事も1週間ほど放り出しているとしたら・・・
「もうどっちでもいいんじゃない?!」とか言い出しそうです(^^;


もし「どうでもいい」とか口に出しても出さなくても
その結果が被告人の人生を決めるようなことになってしまったら
心の負担は相当なものになるでしょう。





マイケルジャクソンの裁判に関わった陪審員たちも
1週間ほどの缶詰状態で「もういいでしょ」的な判断を下してはいないだろうか?と・・・


アメリカの、どこの誰ともわからない陪審員の気持ちをちらっと考えてみたりしました。






今日は<Sの心理>の予定じゃなかったの?!と思っても

 1クリックヨロシク(*- -)(*_ _)ペコリ (笑)