キャリアウーマンのそれぞれ -「タレントの卵・営業日誌」連載中- -22ページ目
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玲子の場合 第1章 ACT5

 小会議室の電気をつけ、先に玲子が入った。
 大沢はドアを閉めたまま、入り口付近で立っている。
 ドア方面に背を向けたままの玲子は大沢が動かないことに気がついていなかった。

 大沢の表情に変化はないが、目は玲子の後ろ姿を捕らえている。
 背中から腰に目線が下がる。
 タイトスカートのスリット部分で一瞬目線が止まって、足元へ・・・。
 玲子の締まった足首へ大沢は熱い視線を送る。

「ん?大沢君、こっちに座って・・・。」
 玲子は大き目の会議用テーブルの角を挟んだ左側を指した。

「はい。」
 大沢の声のトーンはごく普通だ。
 大沢はうつむき加減だったので、表情に出ていたとしても玲子には悟られていないであろう。
 大きな音にならないよう気をつけながら「ふ~っ」と息を吐き出し、大沢は席に着いた。

「これ、お願いします。」
 大沢は2部ある書類の1部を玲子の方へ差し出した。
 無言で受け取った玲子は速いペースで目を通す。
「ん・・・?」
 玲子の声に大沢は怪訝な顔つきで反応する。
「なっ・・何か・・・?」
 書類から顔を上げた玲子は大沢の顔を見ると、大沢の目がうろたえているようだ。
 このまま黙っていれば大沢は更に不安になって困ってしまうだろう。
 玲子は少し意地悪な気持ちになり、ワザと黙っておいた。

 沈黙に耐えられなくなった大沢が小声で玲子に声をかける。
「あのぉ・・・。」
 その表情を指先で突ついてみたい衝動に駆られた玲子も表情は崩さない。
 ふっと力を抜いたような笑顔を作った玲子は茶化すような声で
「ここ・・・漢字変換のミスよ?」
 書類を指して示した。
「え?!あっ?!ああ~~~~!」
 玲子の手元と自分の書類を見比べながら、大沢の顔が見る見る赤く上気していく。
 玲子は心の中で「可愛い♪」とつぶやいた。
 大沢の方が格段に背が高いのはわかっているが、頭を抱えて抱き締めたい衝動に駈られる。

 玲子の頭の中で大沢は、玲子の胸に顔を埋めて頬擦りしている。
 大沢の背中と後頭部へ回した玲子の手は、子供をあやすように撫でている。
 大沢の玲子の背中に回した手が不意に玲子のスーツを鷲掴みにして、玲子を会議用のテーブルに押しつける。
 反動で玲子はテーブルに頭を打ち付け「ゴン」と音が鳴った。
「すっ・・・すみません。」
 顔を上げて謝りながらも大沢の手は玲子の両手をテーブルに押し付けたままだ。
 大沢は玲子の両手首を上へ持ち上げ、左手で玲子をテーブルに抑え付けた。
 玲子は大沢の眼を見詰めたまま、大沢の右手が玲子の胸を弄るのを受け入れる。
「このまま、ここで犯してほしい。」
 一瞬の妄想だった。

 玲子は大沢の照れ笑いにつられたように笑いながら
「課長や部長に見せる前で良かったじゃない?」
 玲子は声の上擦り具合を悟られない程度にするだけの演技力も持ち合わせていた。
 頭を掻くような仕草の大沢も玲子には可愛らしく映る。
 玲子の胸の奥でキュンと音がしたような気がした。
 それを振り払うように真面目な顔つきに戻した玲子。
「さて、中身に入りますか。」
「はい、お願いします。」

 ラスト2枚を見終えた玲子は、1枚目に書類を戻した。
「3枚目まではいいと思うのよ。4枚目もこのままでいいかな・・・?」
 書類に目を落とした玲子の横顔をじっと見ている大沢の目はビジネスマンのようでありながら、時折男の目に変わることに玲子は気付いていなかった。


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玲子の場合 第1章 ACT4

 翌日、グリーンのスーツに身を包んだ玲子は、いつもと同じ顔つきで出社した。
 同じ課の部下の後ろを「おはよう」と声を掛けながら通り抜け、自席につく。
 隣席の中山課長に挨拶しながら椅子に座ろうとした玲子へ珍しく中山から声が掛かった。
「占部くん、今日のスーツは綺麗だね。」
 玲子は苦笑しながら顔を向けた。
「ありがとうございます。でも課長、たまには中身も誉めてくださいね。」
 中山は困ったような顔で笑った。
「あ、いや・・服だけ誉めるつもりじゃあ、なかったんだが・・・。」
 愛妻家で有名な中山としては、妻以外の女性の中身を誉めると言うことはほとんどないし、服装を誉めることも稀だ。
 そんな中山が今日の玲子のスーツを誉めただけでも上出来だった。

 週の半ばの朝礼は各部署単位で行われる。
 部長、課長、課長代理の順で今日の予定を確認と連絡事項の伝達だけだったので、短い時間で朝礼は終わった。
 席に戻った玲子は末席の友美を呼んだ。
「友美ちゃん、申し訳ないけど午後からの会議の資料をコピーしてくれないかしら?関根常務もいらっしゃると思うから、8部お願いね。」
 玲子から手渡された書類を受け取る友美は大卒の専門職である。
 英文科卒なのに海外部署に配属されなかったせいか、仕事熱心と言うほどでもないが、頼まれた仕事はそつなくこなす。
 玲子にとって、頼まれた仕事をミスなくこなしてくれる部下は有り難かった。
「はい。出来上がったらお持ちします。」
 少し派手めの顔立ちの、現代っ子の友美だが、敬語も使い分けが出来る。
 専門職は制服があるので、社内で見る友美は地味めの化粧をしているようだ。
 長すぎない程度に伸びた爪には派手にならない程度のパールピンクのマニキュア。
 自分の立場をわきまえているように見える。

 玲子はコピー機へ向かう友美の後ろ姿を見送った。
 肉感的なヒップは若さの証のようにキュッと引き締まって持ち上がっている。
 少し内股なのか、すり足気味に歩く友美の後ろ姿は臀部が誘うように揺れていた。
「きっと、あの子はどうすれば自分が魅力的に見えるのか知っているのだろうな。
 それを計算ではなく、本能で出来る・・・。
 控えめに見えるけど、奔放な私生活を送っているのかもしれない。」
 そう思った玲子は眩しく見える若い友美の背中から目を離した。

 10時には大沢がやってくる。
 大沢の作成した書類のチェックは、玲子の隣の席では出来ない。
「小会議室は空いてたっけ?」
 ふと、ボードを見上げ確認した。
 12時までの2時間、若い大沢と密室で2人きり。
 そう考える玲子の胸に高揚感があるのを否定出来ない。
 日中の社内で、しかも今年入社したばかりの新人大沢が、仮にも管理職の玲子に何か出来るとは思えないが、2人きりで顔を突き合わせて書類を確認する時に手が触れるかも・・・と想像しただけで、玲子の中の女がドキドキと高鳴るのだ。
 玲子の胸の高鳴りは、年齢も立場も逆転しているが、中学の憧れの先輩と擦れ違う時に似ている。
 触れるはずもない、擦れ違いざまにぶつかるだけの勇気もないのに側を通るだけでドキドキしたあの頃。
 今の玲子の立場では大沢に言い寄ったり出来ない。

「女性で課長代理ですか・・・。」
 初めて会った時、大沢から見詰められた。
 会社の先輩としてなのか、大人の女性としてなのか、大沢の玲子を見詰める眼の中には憧れのような光があるのを玲子は感じていた。
 大沢の期待は裏切れない。
 玲子は上司の仮面を被って、大沢が来るのを待った。

 10時を過ぎても大沢は現れない。
 時計を見た玲子は首を傾げた。
 いつも5分前までには必ず大沢はやってくる。
 10時5分を過ぎる頃、大沢が焦った表情で走り込んできた。
「すっ、すみません!遅くなりました!」
 玲子は微笑で大沢を迎えた。
「コピーが混んでいたもので・・・すみませんでした!」
 体育会系が抜けないのか、大沢の声が響いた。
「そう、しょうがないわね。じゃ、小会議室に行きましょうか」
 玲子は社内用の手帳を持って立ち上がった。
「はい!」
 少しトーンを落とした大沢の声は、それでもまだ大きかった。

 会議室に向かう玲子と大沢。
 玲子に自覚はなかったが、その瞳は少し潤んでいた。


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玲子の場合 第1章 ACT3

 風呂からあがった玲子は冷蔵庫を開けて350mlの缶ビールを取り出した。
 無地のバスタオルを1枚巻いただけの姿で奥の寝室に向かう。
 2つの部屋を仕切るロールカーテンは常に巻き上げた状態なので、1台しかないファンヒーターでも十分に暖まっている。


 玲子はベッドに腰掛け、サイドボードにビールを置いてリモコンを操る。
 ニュースのチェックは怠らない。
 しばらくして経済関係のニュースが終わり、地方のニュースが始まった。
 目線はTVだが、玲子は既に別のことを考え始めている。

 ニュースが終わり、深夜のバライティー番組が始まった。
 玲子はTVを消した。
 枕元にあるプレイヤーでCDを小さな音で掛ける。

 プレイヤーの置いてある真下の引き出しに玲子は眼を落とした。
 引き出しに入っているのは彼からのプレゼントだった。
 手に取ってじっと見つめていると彼の声が聞こえてきたような気がした。
「一人で寂しいときは、これを使って。」
 ピンクのローターが玲子に話し掛けているようにも思えた。


 使い方は十分わかっている。
 前回のデートの時に彼が玲子の体の一番敏感な部分にあててくれたのだ。
 彼と一緒にいるときにおもちゃを使うことには抵抗ないが、玲子が一人で自分を慰めるのに使うのにはまだ抵抗があった。

 玲子はスイッチを入れてみた。
 ウィィ~~~~ン・・・と小さなモーター音。
「これをあそこにあてれば、すぐにイケるんだけど・・・」
 玲子は迷いながらじっと見つめていた。
「ほら、使ってごらん・・・。」
 彼の囁くような声が聞こえるような気がした。


 躊躇しながら、玲子はローターのスイッチを切った。
 開いたままの引き出しにローターを入れると、コロンと音をたてて中に落ちた。
 玲子は引き出しをそっと閉めた。
 まだ玲子にはおもちゃが必要ではなかったのだ。

 ベッドカバーをめくって玲子は体を横にした。
 バスタオルがずれて太ももが露わになる。
 巻いたバスタオルの隙間から左手をそっと挿し込んだ。
 まだ玲子はバスタオルが重なっている奥へ手を入れない。
 バスタオル1枚分の布の上からそっと乳房を包み込むように触れた。

 玲子はプクンと乳首が立つのを感じた。
 バスタオル1枚分のもどかしさ。
 布が乳首に擦れると玲子の体はビクンビクンと反応する。
 左手の人差し指で先端を弾いたり、摘んだり・・・玲子は自分の体を焦らした。

 息遣いの荒くなるのを自覚した玲子は、バスタオルの奥へと左手を進める。
 右の乳房を直接包み込むように撫でる。
 中指で乳輪付近を丸く縁を描くように触れながら、右手で露わになった太ももをそっと撫でる。
 すぐ、肝心なところに達してしまうよりも彼がしてくれた手順を再現しているほうが、後の楽しみが倍増することを玲子は経験上知っているのだ。


 過敏に反応する部分に触れていないのに、玲子の秘所は既に熱いものが溢れ出し、十分に湿っていた。
 玲子は親指と中指で乳首を軽く挟み、人差し指で先端に触れた。
「あっ・・・。」
 顎を上げた玲子の口から吐息が漏れる。
 右手を割れ目にそっと忍ばせ、玲子は花芯へ指を這わせようとしたが、そこは蜜が溢れかえり、指先が滑った。
「ああっ・・・あ・・・。」
 指先は蜜壷の入り口に達した。

 玲子はそのまま指先で入り口を弄る。
 ビチャビチャと卑らしい音が自分の耳に聞こえるように指先を動かした。
 卑らしい蜜を吸った2本の指で、玲子の一番敏感な花芯を摘む。
「あぅ・・・。」
 顔を軽く左右に振るのは玲子の癖で、感じているのに「イヤイヤ」をしているのだ。
 体に巻きつけたバスタオルが緩んでいる。
 玲子はバスタオルを外して生れたまれたままの姿になった。


 左の乳房を少し強めに握ると乳首が反応しツンと上を向く。
 乳首を抓るようにしたり叩くようにしたり、そっと触ったり・・・。
 その間に右手は花芯を確実に捕らえる。
 蜜は涌き出るように外へと流れ出しアナルをも濡らす。
「いやあぁぁぁ・・・イッ・・イクぅ~。」
 下半身をベッドに押し付けるような格好で腰が浮き、玲子の体が仰け反った。
 軽い痙攣が玲子を襲う。
 目の前が白いもやで覆われた・・・。

 しばらく身動き出来ない状態だった玲子は隣に彼がるような錯覚を起こしていた。
 終わった後、彼はいつも軽く抱き締めたまま玲子の髪や肩を撫でてくれるのだ。
 今、隣にいない彼を少し恨むような気持ちになりかけた。
「ふうっ・・・。」
 ため息をついた玲子は上半身を起こし、残りのビールを飲み干した。
 空になった缶を見つめ、しばらく考え事をしていたが、缶を元に戻してベッドに潜り込み横になった。
 少し背中を丸めて枕に1/3ほど顔を埋めた玲子の眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。


 自慰行為を後悔するほど、玲子は子供ではない。
 自分で自分を慰めたいほど体が要求することも理解出来る大人だ。
 しかし、玲子は彼と「したかった」のだ。
 玲子の心も体も彼を求めているにも関わらず、傍にいない彼を追い求めて自分で慰めてしまった自分に自己嫌悪にも似た感情が襲ったのだった。

 玲子は彼から何度となくプロポーズとも取れる言葉を聞いている。
 仕事を好きで続けている玲子は、彼の言葉を聞き逃すような素振りをしてきたのだ。
 もし彼の言葉を受け止め、玲子が応えていたら、同棲も可能かもしれない。
「今、彼が隣にいないのは自分のせいなのかも・・・。」
 そう思い至る玲子はもう夢と現実の狭間にいた。


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玲子の場合 第1章 ACT2

 地下鉄で20分ほどあれば玲子のマンションのある駅に着く。
 通勤の利便性と地下から階段を上がってすぐと言う治安を優先して選んだマンションだった。
 玲子はこのマンションに男を入れたことがない。
 自分の城と言う意識があるので男をマンションに招き入れることを躊躇しているのだ。

 と言っても、玲子に彼がいない訳ではない。
 付き合う男に不自由したこともほとんどない。
 玲子が現在付き合っている男は山下部長に連れられて参加した異業種交流会で知り合った。
 知り合って1年近くだが、肉体関係はまだ半年。
 玲子は彼とのsex自体に不満はないが、深い満足もない状態が続いている。
 イケない訳ではない。
 体の満足度より彼に抱かれているときの精神的な満足が上回っているのだから、玲子にとって「愛されている」と実感出来るsexなのだ。
 しかし、その彼もまだこのマンションには招き入れていない。

 玲子は501号室の鍵を開けた。
 2Kのマンションだが、ドアを開けて部屋が見渡せるようにはなっていない。
 そこも玲子が気に入っている理由だ。
 パンプスを脱いで隅へ置き、部屋へのドアを開ける。
 テーブルの横にかばんを置き、コートを脱ぐ前にファンヒータを入れ、浴室へ向かいバス タブにお湯を張る。
 帰宅後の玲子の動きは無駄がない。
 コートを脱いでスーツをハンガーに掛け、ブラウスとストッキング姿で浴室に戻り、鏡の前でブラウス、ストッキング、ブラジャー、パンティの順に脱いで行く。

 鏡の中に写る全裸の自分をじっと見つめる。
「30代にしては、まだいけてるよね?」
 鏡の中の自分に問い掛ける玲子の体は確かに衰えていない。
 張りのある胸、くびれのあるウエスト。
 20代の頃よりは下腹部に肉がついたかもしれないが、醜いほどではない。
 玲子は自分の胸を両手で持ち上げてポーズを作ってみた。
「グラビア写真にこんなポーズがあったなあ。」
 苦笑しながら何ポーズか取ってみる。
 少し卑猥なポーズを取ってから、シャワーを浴びた。

 化粧を落としてからバスタブに体を沈め、眼を閉じると、彼とのデートで入ったバスルームが玲子の目の前に広がる。
「洗ってあげる」と言って、彼は玲子の体を泡だらけにした。
 彼に後ろから抱きしめられた、あの時の記憶が蘇る。
 泡のせいなのか、彼の手の感触はいつもよりソフトで柔らかいタッチだった。
 全身を羽でなぞられるような感触。
 肝心なところには触ってもらえないもどかしさ。

 玲子はそっと自分の乳房を弄った。
 彼と同じような手の動きを自分の胸へ真似てみた。
 バスタブのお湯が玲子の手の動きで揺れると、まるで全身を撫で上げられているようだ。
 あの時と同じもどかしさが体に蘇る。

 彼の手の動きに耐えられなくなった玲子はうめくような声を絞り出した。
「ねぇ・・ねぇ・・・もうだめ・・・お願い。」
 くねるように体をよじりながら、玲子は彼の手の動きに反応している。
「何をどうお願いしているの?」
 意地悪な彼の問いに、玲子は消え入りそうな声で答える。
「入れて・・・お願い・・・。」
「何をどこへ入れて欲しいの?ちゃんと言わないと・・・。」
 軽い言葉責めに玲子の体が反応した。
 入り口付近で円を描くようにしていた彼の指が玲子のポイントをワザと外す。

「あぁ・・・。」
 今度は現実の玲子の口から声が漏れた。

玲子の右の中指は花芯を撫で始めた。
彼の指と同じ動きを始めた玲子の指は段々加速していく。

「あっ・・ああ・・・いい・・・そこ・・・。」
眼を閉じたままの玲子の目の前にあるのは彼の後ろから回された腕。
お湯の中でも感じるぬるりとした感覚。
彼の指と現実の自分の指がシンクロしている。

「あぁ・・イッ・・イクゥ・・・。」

太ももから足の指先までが痙攣するような反応を示し、バスタブの中の玲子は力尽きた。


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玲子の場合 第1章 ACT1

 明日の書類の整理と準備を終えた玲子は軽く頭を左右に振った。
 振ることで頭の中を裏切る体の反応を打ち消そうとしたが、玲子の体の火はくすぶったままだった。

 ふと机の上を見ると、冷たくなったカップの底に飲みかけのブラックコーヒーが一口ほど残っていた。
 冷たくなったコーヒーを口にしたら体も冷めるかもしれないと思い、玲子はカップを口元に運んだ。
「ゴクッ・・・。」
 玲子は自分の喉が思い掛けないほど大きな音を立てたことに驚いて、思わず大きな眼を見張った。
 シンとしたオフィスの中で玲子のコーヒーを飲んだ音だけが強調されたような気がしたのだ。
 綺麗に上を向くように入れられたダークブラウンのマスカラが施されたまつげの瞳は大きく見開かれ、先程の妄想でうるんだ余韻を残していた。
 もう1度頭を振った玲子はカップを机に置き、コートを羽織ってバックを持った。
 普段、男と同じように仕事をこなす玲子だが、女性である部分を捨てて仕事をしている訳ではない。
 カップを持ったまま室内の消灯を確認し部屋の鍵をかけて給湯室へ向かい、自分の飲み終えたカップをマニキュアの塗られていない手で洗った。
 勿論、給湯室のガスや電気をチェックすることも忘れない。

 エレベータを降りた玲子はビルの裏手に回る。
 守衛さんへの挨拶も忘れない。
「お疲れ様です。8F最終です。これ・・・。」
と、玲子は部屋の鍵をカウンターに置いた。
 新聞を読んでいた守衛が振り返り、玲子の顔を見ると笑顔に変わる。
「いつも遅くまでご苦労様です。」
守衛は立ち上がって頭を下げてからカウンターへ近づいてきた。
「じゃあ、失礼します。お先です。」
玲子もつられたような笑顔で挨拶を交わし鉄の重い通用口を開けてビルを出た。
「お疲れさまです。」
 後姿を見送る守衛の笑顔は、玲子の姿がドアの向こうに消えた途端、淫猥な影が見えた。


「あの人は綺麗だしスタイルもいい。
 噂じゃかなり仕事も出来るらしいし、いつも燐とした雰囲気だが・・。
 夜の顔は別人なんだろうなあ・・・。
 男の腕の中でヒィ~ヒィ~泣くんだろうか?
 あんないい女を乱れるだけ乱れさせてみたいもんだ。
 後ろ手に縛り上げて、犯してみたいなあ。
 いや、俺のものを咥えさせてもいい・・・。」
 守衛は自分の唇を舌でなぞりながらニヤリと笑い、玲子がカウンターに置いた鍵を取り壁に掛けた。

 いつも礼儀正しい態度の守衛にそんな想像をされていることも知らず、玲子は地下鉄へ向かう階段を足早に降りていた。


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<初投稿>

わからないこともアメブロに質問した。

最初に投稿する文章も決まってた。

登録するのは簡単だった。

自分の書いた文章がUPされるのは緊張した。

誰が読んでくれるんだろ?

もし、誰も読んでくれなくても

自己満足出来る場所が出来た。

(..)(^^)(^。^)(*^o^)(^O^)ウレシーーー!!






夜になってじみじみしてるσ(・・*)アタシ

玲子の場合 序章

「ふぅ・・・」
 ため息をつきながら顔をあげると、机の上のデジタル時計は22時を過ぎていた。
 明日の午後からの会議用の書類がやっと完成した。

 幹線道路沿いにある商社ビルの8Fの窓から見える寒々とした空気。
 誰もいない部屋はスーツの上着を脱げるほどの暖房がきいていた。
 職場で乱れた服装など考えつかない玲子はスーツのままで仕事をしていたので、顔が少し火照っていた。

 玲子は本社の国内営業本部の課長代理。
 今年の4月から新入社員研修も担当している。
 この時期は実践研修の仕上げ時期に入るので、明日の午前中は書類を作る余裕がなかったのだ。

 仕上がった書類をプリントアウトしている間、明日の研修で玲子の隣の席にやってくる新入社員の大沢健司のことを考えていた。
 今風の端正な顔立ち、178cmの長身に引き締まったボディ。
 大学時代は陸上部だったらしく、少し日焼けしている肌。
 シミもたるみもないであろう大沢の体を想像していた。

 想像していくうちに、玲子は頭の中で大沢に犯されていた。
 この広い部屋の中で、自席の机に手をついてスーツとブラウスのボタンを外されている玲子。
 スカートをめくり上げられ、足首にはパンストとパンティが絡まっている後ろから大沢が玲子の腰を持って、男根を突き上げるところを想像していた。

 きっと若い大沢には繊細なテクニックなど望めないだろう。
 一心不乱に腰を振り続けるだけのsex・・・。
 玲子は頭の中で犯されている自分が物足りなくなってきた。

 想像の中の大沢は、いつの間にか隣のグローバル営業本部長の山下に替わっていた。
 腰使いが微妙なグラインドに変わる。
 腰を持っていた手は右の胸へ伸び、左手は秘所の小さな突起を弄る。

 大沢との想像の時に熱くなった玲子の秘部は、山下部長に犯されはじめた途端に熱い蜜を蜜つぼの奥から流し始めた。
 壁の成績表あたりを見ていた目線が段々潤んできた。
 玲子は自分で自分を慰めたくなる衝動にかられる。

 次の瞬間、山下部長が関根常務に代わった。
 関根常務は自分のものを入れずにバイブを玲子の秘所へ押し込んできた。
 玲子の体中を関根常務の指が弄る。
 ねっとりとした関根常務の唇が、舌が玲子のうなじを這い回る。

 この部屋で3人目の男に犯されている玲子の想像は、現実の玲子の体に如実に現れはじめる。
 秘部の蜜つぼの中から蜜が玲子の太ももを伝うような錯覚。
 押し込まれたバイブもしっとりと湿っているような錯覚。

 恍惚とした表情の玲子は、まさに絶頂の時を迎えようとしていた。



 プリンターの音が止まった。
 玲子は現実に引き戻され、想像するのをやめた。
 潤んだ瞳だった玲子の顔はキャリアウーマンの顔に戻り、全身から出ていたフェロモンは一瞬にして消え去った。
 この書類の人数分のコピーを誰に頼もうかと考えている玲子の頭の中は課長代理モードに切り替わった。

 しかし・・・

 立ち上がってプリンターの吐き出した書類を取ろうとした玲子の股間は下着を通り越してパンストをも湿らせていた。
 伸ばした腕のせいで、スーツの上着が揺れてブラウスの下のブラをかすめた時、ブラの中に隠されている乳首に言い知れぬ快感が走った。

 それは玲子の体の現実。



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玲子の場合 第1章 ACT1 へ・・・
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